インドネシアの基礎地理
島嶼国・インドネシア
インドネシアは東南アジア南東部にある大小多くの島々からなる国です。
島の数は14000とも18000とも言われています。
かなりの数の島からなる国です。
このように多くの島からなる国のことを島嶼国といいます。
多くの島の国ということです。

島嶼国として他に挙げられるのは、
日本そしてフィリピンなどです。
インドネシアの面積
インドネシアの面積は日本の約5.5倍です。
大きな島として挙げられるのは、
- ジャワ島
- スマトラ島
- カリマンタン島
- スラウェシ島
- ニューギニア島
などが存在します。
インドネシアの造山帯
スマトラからジャワやスラウェシに及ぶ火山帯が有名です。

環太平洋造山帯とアルプスヒマラヤ造山帯の結合部分
これがスラウェシ島の辺りと考えられています。
スラウェシ島はアルファベットのKのような形をした島なんです。
このようにプレートの境界が位置しているところもありますので、
インドネシアは地震と火山が非常に多い国です。
インドネシアの気候
そしてインドネシアはほぼ赤道直下に位置していることもあり、
高地を除きほぼ全土が熱帯です。

高温多湿の海洋性気候を示しています。
非常に気温が高く湿度が高い国です。
さらに、それが一年中続くということで、
気温と降水量の年較差が非常に小さい国となっています。
首都のジャカルタは
1月の平均気温は27.0℃、7月の平均気温は28.1℃
気温の年較差は年間で1.1°しかありません。
ほぼ同じような気候が続くということです。
平均気温は28°cです。年降水量は1900ミリです。
日本よりもやや降水量が多いです。
インドネシアの首都と人口
そして、インドネシアの首都はジャカルタです。
首都ジャカルタは人口1000万人を超す都市です。巨大な都市です。
そして面積は191.1平方キロメートル、
人口は26680万人います。
インドネシアの人口は世界で第4位です。
インドネシアの略史と現況
インドネシアの略史と現況についてみていきましょう。
インドネシアの略史
インドネシアはスマトラ島に7世紀頃仏教王国が成立しました。
8世紀から9世紀頃に
世界最大の大乗仏教遺跡ボロブドゥール寺院が建立されています。

8世紀から15世紀の中ではヒンドゥー教徒の王朝が
興ったり滅亡したりを繰り返していました。
イスラム教が広まったのは13世紀以降とされています。
15世紀から16世紀にイスラム王朝が起こります。
そして1602年にオランダがやってきて東インド会社を設立。
以後短期間のイギリス統治を挟みながらも
オランダの植民地支配が続いていきます。
長らくオランダの植民地支配を受けていたインドネシアですが
1945年になるとスカルノ等を中心として独立を宣言します。
四年間の独立戦争の後1949年オランダがこれを承認します。
その後1976年になると
インドネシアは東ティモールを27番目の州として統合しました。
東ティモールは後に2002年になるまで、インドネシア領として存在することとなります
人口過密のジャワ島
現在のインドネシアは人口の2/3がジャワ島に集中しています。
2億6千万人を超える人口の中で2/3がジャワ島に集中しているとなるとジャワ島の人口密度はとんでもなく高いということがわかりますね。
国内にイスラム教を擁する人口数としては世界最大です。
首都移転計画

2022年1月18日、インドネシアの国会は首都移転法案を可決した。これにより、24年にはジャワ島西部のジャカルタから東カリマンタン(カリマンタン島東部)に移転が始まる。新首都の名称は、ジャワ語で群島を意味する「ヌサンタラ」。
時事通信社
というように、ジャワ島へあまりにも人口が密集しているために、
とうとうジャワ島から首都を脱出させようとしています。
自由アチェ運動
そしてインドネシアでは独立運動が多々起きていました。
スマトラ島の北西部にアチェ特別州が1976年に自由アチェ運動という組織が独立を宣言していました。
それから30年にわたって、
インドネシア政府とアチェ運動の人たちとの間で紛争が続きました。
この紛争によって死者は15000人を超えたと言われています。
インドネシアの宗教
インドネシアは非常に大きい国ですし、
多くの島を抱えてる国ですので、
いたるところで見る国や宗教問題が存在しています。
インドネシアの宗教についてみていきましょう。
インドネシアは
国内に抱える人口が2億6000万人を超えており
そのうち国民の約90%がイスラム教を信仰しています。
そのため国内にイスラム教徒約2億人を超えているので
世界最大のイスラム教国家と言えます。
インドネシアの中には
イスラム教以外にも信仰されている宗教があります。
その中の一つにヒンドゥー教があります。
ヒンドゥー教がよく信仰されている島としては
バリ島が有名です。
バリ島で信仰されてるヒンドゥー教であるバリ・ヒンドゥーの歴史は
4世紀から5世紀頃に始まります。
その時はジャワ島を通じて、
インドのヒンドゥー教や仏教などが
バリ島に伝わってここから始まります。
16世紀頃になるとインドネシアを広く支配していた
ヒンドゥー教国家マジャパヒト王国
がイスラム勢力によって滅ぼされてしまいます。
イスラム勢力に追われる形で僧侶をはじめとする多くの人々が
バリ島へ逃げていきました。
この時バリ島にジャワ島のヒンドゥー文化が流入し、
これと合わさって現在のバリヒンドゥーが確立していきました。
第二次世界対戦後に独立したインドネシアでは
憲法にパンチャシラという建国五原則が設けられました。
この第一条項に唯一至高の神という言葉があります。
つまり一神教の信仰こそが国家理念の柱であると書いてあるそうです
バリ島のヒンズー教は多神教です。この憲法第一条項によって
「インドネシアではヒンドゥー教は認められないのではないか?」
とヒンドゥー教徒たちは危惧するようになっていきます。
そこでバリ島ではヒンドゥー教を国に認めてもらおうという運動が起きます。
教養や唯一神制度・組織などを整備し、
後に国はヒンドゥー教を認めて行きます。
現在インドネシアが公式に認めている宗教は
- イスラム教
- カトリック
- プロテスタント
- 仏教
- ヒンドゥー教
- 儒教
の六つです。
インドネシア政府にヒンドゥー教を認めてもらうため
苦肉の策としてヒンドゥー教を唯一神とすることにしました。
その神はイダ・サンヤン・ウィディ・ワサ略してサンヤン・ウィディと呼ばれることが一般的です。
これは
- ヴィシュヌ
- ブラフマー
- シヴァ
などの
ヒンドゥー教の神々は
唯一神であるサンヤン・ウィディの
仮の姿であると定義されています。
これによってバリヒンドゥー教はサンヤン・ウィディを唯一神とした
一神教ということになりました。
これがインドのヒンドゥー教との大きな違いです。
こうしてバリ島のヒンドゥー教達は
日々のお供えや儀礼などを
日々の習慣として考えそれを実践していきます。
またバリ島の中でも習慣が地域や歴史によって異ります。
バリヒンドゥー教にもインドのヒンドゥー教と同様
身分制度があります。
インドのような厳格なものではありませんが、元々複雑な階層に分かれてました。
この複雑に分かれていた階層を
オランダ植民地時代に各地の統制や税の徴収を簡素化するためバリ島のカーストを四つに整えた言われています。
- バラモン
- クシャトリヤ
- ヴァイシャ
- シュードラ
と似てはいますが、
バリヒンドゥーでは
- ブラフマー
- クシャトリヤ
- ウエシャ
- スードラ
という四つに分かれているそうです。
インドネシアの国旗
インドネシアの国旗は、
「メラプティ」と呼ばれる「紅白」という
意味をもつ国旗です
実際インドネシアの国旗というのは
上側が赤色
下側が白色と
なった2色の国旗です。
1945年8月17日、旧宗主国オランダから独立する際に、
スカルノ夫人のファティマさんが作ったものだそうです。
家にあった布の切れ端で縫い上げたもので、現物は独立記念塔モナスに保管されています。
ポツダム宣言による日本の敗戦で
解放されたオランダ人が青白赤のランダ国旗を掲げるとインドネシア人が青い部分を引き裂いたという逸話もあるそうです。
インドネシアの人にとって赤と白は国民色であり、白は純白、赤は勇気を表しているそうです。
赤と白は太陽と月という意味もあるそうです。
インドネシアの経済
インドネシアの経済についてみていきましょう。
インドネシアはエネルギー資源が豊富な国として知られています。
そのため、資源価格の上下によりインドネシアの通貨であるルピアも資源価格と連動した動きをします。
原油・天然ガスの埋蔵量が非常に多い国です。
原油は2017年の埋蔵量は4.46トンと記録されています。
天然ガスの埋蔵量は2017年で2兆9100億 m3。
錫錫鉱などの地下資源の埋蔵量も豊富です。
そしてインドネシアは近年液化天然ガスなどの非石油製品の輸出に力を入れています。
インドネシアで最近輸出が伸びているのは石炭です。
最近は石炭の輸出量が非常に多いという点は覚えておきましょう。
インドネシアの農業
インドネシアの農業は米作りが基本的に中心です。
1997年のアジア通貨危機で過去最高の影響を受けましたが、2005年以降は好調な個人消費+輸出に支えられ、経済は回復傾向にあります。
国際的な金融危機の影響も少なく GDP 成長率は2009年に4.6%になりまひた。比較的高い成長を維持しています。2016年には4.9%、2017年には5.1%です。
非常に堅い経済成長です。
インドネシアの最大輸出品目はパーム油です。
パーム油に関しては、マレーシアの記事でも話しましたね。
インドネシアとマレーシアはパーム油の生産量が非常に多い国として世界的に有名です。
インドネシアの貿易
そしてインドネシアはパーム油や石炭天然ガスなどエネルギーに変換できるものが輸出として多いです。
機械類や石油製品鉄鋼などの低次加工品の輸出が非常に多いです。一般的な途上国型の貿易体制を取っています。
インドネシアの最大貿易相手国は中国。インドネシアの輸出品目はエネルギー資源が多いです。
そのため、エネルギー資源が必要な国が輸出相手国の上位に来ます。
それなら人口が多く需要が大きい日本とアメリカもランキングに入るはずですよね?
統計では、インドネシアの輸出額第2位はアメリカ、第3位は日本です。
そして注目ポイントはインドネシアのそばにエネルギー資源が必要な国があります。東南アジアの先進国。そう、シンガポールです。

シンガポールは資源が乏しい国です。シンガポールはインドネシアからエネルギーを多く輸入しています。
インドネシアと日本の貿易
インドネシアから日本への輸出品目は石炭・液化天然ガスなどの資源が上位です。
一方、日本からインドネシアへの輸出は機械類や鉄鋼自動車部品などの製品が上位です。
このことから、日本とインドネシアの貿易を比べて見るとタテの繋がりである垂直産業型構造が残っています。インドネシアから資源を日本に輸出し、日本で加工し、インドネシアに再び輸出するものです。
インドネシアの産業別人口構成
インドネシアの産業別人口構成をみると、一次産業従事者は31.8%、三次産業従事者は47.0%です。
インドネシアではまだまだ農林水産業従事者が豊富だということです。
インドネシアと米
インドネシアではどのような作物が育てられているのでしょうか?
それは米です。

インドネシアの米の生産量は中国・インドに次いで世界第3位です。そのため、特にジャワ島などでは棚田を利用した栽培が盛んに行われています。

稲は本来、生産性はあまり良くないです。米栽培は水田が必要です。その水田は平地、つまり傾いていない場所に水を張る必要があります。
インドネシアでは人口が急速に高まり、米の需要が高まります。すると、米の供給量を増加させる必要があります。そのため、米をたくさん作る必要があります。米の新たな増産時に山間僻地の山を切り開いて棚田を作るパターンが非常に多いです。棚田は好んでやるものありません。平地がないため、仕方なく開墾しています。実際、生産性は高くはないです。
インドネシアとサトウキビ
オランダ植民地時代にインドネシアは強制栽培制度があり、そこで、サトウキビが導入されました。その結果として、サトウキビ生産が広い領域で導入されました。
現在はサトウキビ栽培はプランテーション農業によって、広大な面積で行われています。インドネシアだねではなく、東南アジアの国々でプランテーション農業は実施されています。そのプランテーションは単一耕作(モノカルチャー)がほとんどです。
モノカルチャー経済
世界市場で重要度の高い天然ゴムやサトウキビコーヒー豆などの商品作物の生産をですね単一栽培パターンがすごく多いです。モノカルチャーはリスクが非常に大きいです。その理由は、1つのものしか作っていません。その1つのものが不作だった場合、その時はやはり収入が一気に減ってしまうなどがあるわけです。このモノカルチャーはリスクが大きいです。脱モノカルチャー脱専門栽培を目指して、多角経営を進めるののがインドネシアでは増えています。
インドネシアと生産上位農産物
インドネシアでは実際、どのくらい農産物が生産されているのでしょうか?
米の生産量は世界3位です。コーヒー豆の生産が世界で4位、カカオ豆はインドネシアはカカオ豆の生産が盛んで世界第3位、そして天然ゴムは古くから生産が進んでいます。しかし、近年では合成ゴムの利用がすすみ、天然ゴムは安い傾向にあります。そのため、天然ゴムの木からトウモロコシへの転作が進んでいます。
インドネシア、ゴム市況の不安定で転作が進む https://www.sankeibiz.jp/macro/news/190821/mcb1908210500002-n1.htm
インドネシアと漁業生産量
漁獲量の漁獲総量が中国についで世界第2位です。人口も多いですからね。漁業はマングローブ林を伐採したエビの養殖が有名ですね。エビの養殖は環境問題にもなっています。マングローブ林は川によく生えている熱帯に自生する樹です。本日本でも沖縄でマングローブ林を見ることができます。エビをインドネシアから日本に輸入するため、多くの水辺のマングローブ林が伐採されて、その水辺がエビ養殖場になっているためです。日本人が引き起こしたといっても過言ではないですが、日本は自国以外は見てないので気づいていない人も多いです。
インドネシアと林業
インドネシアでは高級木材のチーク材や黒檀などが生産されています。しかし、森林伐採や大規模火災などの環境問題が生じています。
インドネシアとパーム油
それから工業ではパーム油の生産はもちろん1位です。パーム油はインドネシアの最大輸出品目です。
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