企業的穀物農業の成立
企業的穀物農業は産業革命の時代に登場しました。
蒸気機関の利用で
ヨーロッパ市場向けの
小麦の栽培から発達した農業のことを言います。
現在でも小麦の単一栽培が盛んで
そのほとんどが商業用として流通しています。
蒸気機関の発明により、農業の機械化が進展し、
労働力不足の解消や広大な土地の耕作、市場へのアクセスが容易になりました。
企業的穀物農業の特色
小麦を単一耕作(モノカルチャー)で作られていました。
しかし、単一耕作では収益性が不安定でした。
なぜなら、単一作物による市場への依存で
一つの作物の価格変動によるダメージが100%になるため、
市場価格に収益が左右されるからです。
少ない労働力を機械で補い
粗放的な土地利用が行われています。
大きければ大きいほど大きな面積をこなすことができます。
しかし田んぼや畑の区画の面積によっては、
小さな機械で行った方が効率が良いこともあります。
最新技術の仕様や効率化で
近年は土地生産性も高くなっています。
日本でも多くの農家が土壌分析や施肥設計を実施しています。
そのため、肥料の入れすぎなどを防ぐことができ、
肥料の最適化ができるようになりました。
また気候や土壌の物理性に応じた
適地適作で土地に応じた作物を育てられるようになりました。
ただし大きくなったぶん、
経営が気候の不安定さや市場価格の動向、
他の経営体の生産状況による供給過多などに振り回されることも多いです。
アグリビジネスと穀物メジャー
さらに
アメリカ合衆国やオーストラリアなどでは
穀物メジャーと呼ばれる多国籍企業が
生産から流通販売までを管理していて
これらの過程で関連する産業が発達しています。
この関連産業をアグリビジネスと言い、
小麦の他に大豆やトウモロコシの大規模栽培を見られます。
企業的穀物農業の主要な地域
適地適作の企業的穀物農業ですから、
小麦栽培に最も適した自然条件のそろったところで、
栽培が可能です。
小麦は西アジア原産のため、
半乾燥地域が適しています。
- アメリカ合衆国のグレートプレーンズからプレーリーにかけての地域
- カナダの平原三州(アルバータ州・サスカチュワン州・マニトバ州)
- アルゼンチンの湿潤パンパ
- オーストラリアのマリーダーリング盆地
などの湿潤気候やステップ気候で主に行われています。
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