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ヨーロッパの化石燃料と酸性雨による被害

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地球規模の環境問題
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酸性雨とは?

酸性やアルカリ性がどれくらいあるかは
pH(ペーハー)であらわします。

酸性雨の定義

pH5.6以下の雨を、酸性雨といいます。

pH5.6以下の理由

なぜ、pH5.6以下なのでしょうか?
そもそも酸性とアルカリ性の中間である
中性はpH7.0であるはずです。
であれば、
pH7.0未満のものは、
酸性雨であってもおかしくないと
思うかもしれません。
実は、
環境汚染されていない自然界の雨は
弱酸性を帯びています。
普通に降る雨も、二酸化炭素が雨に溶け込んでいて、
弱酸性になっているからです。
その普通の雨のpHが5.6であるため、
pH5.6以下の強酸が酸性雨となります。
そのため、土壌は酸性に傾きやすく、
農業でも酸度を調整するために、
石灰などのアルカリ資材を投入します。
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酸性雨の原因

酸性雨の原因は化石燃料を燃やすことです。

化石燃料とは?

古代の生物が長い間堆積することによって、
化石となって地下資源になったものです。

植物の化石からは石炭が、
動物の化石からは石油や天然ガスがとれます。

硫黄酸化物(SOx)と窒素酸化物(NOx)

化石燃料を燃やすと、
硫黄酸化物(SOx/ソックス)窒素酸化物(NOx/ノックス)が生まれます。
いずれも大気汚染の原因となる有害な物質です。

硫黄酸化物(SOx)

硫黄はSで表されます。
酸化物は酸素(O)がくっついているということです。
ただし数が未知数なのでxで表現しています。

主な硫黄酸化物(SOx)
SO…一酸化硫黄
SO2…二酸化硫黄
SO3…三酸化硫黄
硫黄酸化物を排出しやすいのは、
火力発電所です。
また、硫黄酸化物を酸化硫黄と言うこともあります。

窒素酸化物(NOx)

窒素はNで表されます。
Nに酸素(O)がくっつくことで窒素酸化物になります。
ただし数が未知数なのでxで表現しています。

主な窒素酸化物(NOx)
NO…一酸化窒素
NO2…二酸化窒素
N2O…亜酸化窒素
N2O3…三酸化二窒素
N2O4…四酸化二窒素
N2O5…五酸化二窒素
窒素酸化物を排出しやすいのは、
自動車の排気ガスです。
窒素酸化物を酸化窒素という場合もあります。

酸性雨の被害状況

ヨーロッパの例

大きな魚と死んだ湖

ヨーロッパで最初に酸性雨が問題になったのは、
北欧諸国でした。

北欧諸国とは?
デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドなどのこと。
スカンディナヴィア半島では、
太古の昔は地面も氷に覆われていました。
ですので、たくさんの氷河湖があります。
1980年代はじめ、スウェーデンの湖で釣りをしていた人が、
「最近大きな魚ばっかりとれる」と
1970年代頃には見られなかった大きさの魚が取れるようになりました。
釣っていた人たちは原因がわからずとも、喜んでいました。
「釣りがうまくなったのか?」と漁師さんたちは思っていたそうです。
ところが、数年後、湖から大きな魚もいなくなり、完全に湖は死んでしまいました。
なぜでしょう。
これが酸性雨の被害の一例です。
酸性雨によって、抵抗力のない小さな魚から死んでいって、
大きな魚だけがかろうじて生き残っていたのでした。
そのうち酸度(Ph)が酸性により傾くと湖から生物はいなくなってしまいました。
こうしたのは酸性雨被害の初期症状にあたります。

黒い森

先程の例は河川や湖沼の生物が死滅するという話でした。

それが進むと今度は、森林の気も枯れます。
ドイツの南部にある「黒い森」(シュヴァルツヴァルト)の木が枯れています。

シュヴァルツヴァルトとは?

植林活動によって、人工的に作られた人工の針葉樹林です。

黒い森の由来
モミの木や唐檜(トウヒ)の木といったような
うっそうとした森林樹林になっているからです。
その「黒い森」が枯れていく。

ドイツの農業への影響

ドイツの農業では、ハーバー・ボッシュ法の発明以降、
窒素肥料として、化学肥料を農地に投入していました。

当時の農業は、窒素・リン酸・カリウムだけで、
植物は大きくなると考えていました。

ですから、他にも必要だった硫黄など
ミネラル分が欠乏した土地でした。

硫化酸化物の雨が降ると、
硫黄がもたらされ豊作になったそうです。

Just a moment...

一概に植物には害であるとは、
言い切れないのが、
農業の現実です。

銅像の涙

酸性雨によって、銅像が溶けることで、
歴史的な建造物が被害を受けています。

大理石(CaCo3)+硫酸H2SO4→石膏CaSO4+炭酸H2CO3

となって、脆い石膏ができます。
現代家屋の壁材として使われる
石膏ボードに使われているような
石膏ですから非常に脆いです。

金属も溶かすので、溶けて流れたものが、
泣いているようにも見えるようになります。

アジアの例

環境意識が低い中国

近年では、中国でも深刻な酸性雨が発生しています。

中国は、経済発展を環境保全よりも優先させており、
まだまだ環境に対する意識が低いからです。

工場には脱硫装置などはほとんど見られず、
酸化物を抑制していません。

また、中国では発電の中心は、
石炭火力発電なので、
燃焼時に大量の酸化物が放出されます。

しかも、これらは偏西風や冬季の北西モンスーンに乗って
日本海側に運ばれています。

PM2.5
PM2.5とは、大気中に浮遊している2.5μm以下の小さな粒子状の物質のことを言います。
自動車の排気ガスや工場のばい煙などから発生します。非常に小さな粒子なために、非常に軽く、遠くまで浮遊しやすく、人間がこれを吸い込んでしまうと、肺の最奥部まで入り込み、呼吸器系や循環器系に影響を及ぼすこともあります。

 

酸性雨への対策

森林が枯れるのを防ぐために、
石灰を散布することにしました。

石灰はアルカリ性で、
農業でもpHの調整で使われています。
酸とアルカリで中和させようと試みたわけです。

でも、世界中に石灰を散布することは、
難しいです。

もっと根本にある硫黄酸化物や窒素酸化物を
大気中に出させないことが肝心です。

そこで、工場や火力発電所に
排煙脱硫装置をつけること、
自動車の排気ガスを規制すること、
といった対策が盛り込まれるようになりました。

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